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精神障害者のセルフヘルプ‐グループと専門職の支援 当事者に学ぶ
半澤節子
発行:やどかり出版
A5判 278ページ
本体価格2,500円+税
ISBN978-4-946498-51-0(4-946498-51-6) C0036
発行年月:2001年12月
著者である半澤さんは、自分自身がセルフヘルプ-グループに参加するこことで、力を回復するという経験をしている。
人はさまざまな人生のターニングポイントで誰かに助けられる。そうした場の1つがセルフヘルプ-グループである。専門家であってもなくても、セルフヘルプ-グループという「体験を分かち合う場」の面白さについて、もっと知りたい、考えてみたいという関心を抱いていただけたらと思う。
目次
推薦のことば 石川到覚
はしがき
序章 私的体験の世界
1.筆者の患者体験から
2.看護学生時代の出会い
3.保健婦になって
4.セルフヘルフ-グループの思い出
第1章 精神障害者が語る現状と専門職への期待
Ⅰ 病を持ちながら社会に開かれるということ
【事例1】
1.プロフィール紹介(病歴・生活歴・医療に対する価値観)
2.いくつかのセルフヘルプ-グループ体験から
3.TKSミーティングのはじまり
4.TKS(体験交流集会)の特徴
5.「当事者ではない人がいると話しづらい」という発言
6.TKS活動の一時解散の理由と関連する親会の休会理由
7.当事者だけで集まることから「開かれた世界」へ
8.精神障害者のセルフヘルプ-グループに向く運営方法
Ⅱ 精神医療を受けた経験者だからできる社会的活動
【事例2】
1.プロフィール紹介(病歴・生活歴・医療に対する価値観)
2.精神障害者に関わる専門職にひとこと
3.院内患者会は「そこに行けば顔見知りに会える」場所
4.「フレンズコミュニケーション」の始まり
5.セルフヘルプ-グループを支援する専門職にひとこと
6.新たなセルフヘルプ-グループづくりへ
7.精神医療を経験した回復者だからできる活動
8.バンクーバーの地域保健システムに出会って
9.当事者が望むバンクーバーの緊急システムとは
1)危機的対応サービス
2)生活支援サービス
10.バンクーバーで具合が悪くなったら
11.日本の精神支援システムの現状
1)医療と精神支援が連携したシステム
2)精神障害者がともに暮らす環境
3)当事者が求めている緊急システムとは
12.当事者活動が社会的に評価されるための戦略
第2章 専門職が支援するセルフヘルプ-グループの実際
Ⅰ 個別援助の限界とグループづくり【事例3】
1.就労定着指導を個別に行う限界から
2.当事者が主体的に参加する運営
3.社会参加というテーマについて安心して語れる場
4.当事者から見たセルフヘルプ-グループ
1)過剰な期待から自由になって本音を語れる場所
2)就労に対する焦りを一歩離れて見つめる
5.専門職からみたセルフヘルプ-グループ
1)就労支援は生活支援の一部
2)就労に対する焦りを見つめること
3)多様な考え方に出会うことから広がる可能性
6.職場の人に障害を明かすという体験から
Ⅱ ボランティアとして参加する作業所職員【事例4】
1.小規模作業所とは異なる場所でグループに参加する意味
2.作業所職員と通所者が並んでミーティングに参加すること
3.作業所の職員が考える「しごとミーティング」
1)横並びの関係性を大切にする安心感と癒しの効果
2)「パイプ役」を担い続けること
3)作業所での支援という枠組みから離れて考える意味
Ⅲ 同じ社会でともに汗を流し苦しみ涙する仲間
【事例5】
1.当事者が運営する保健所デイケアの効用
2.仕事の分担の決め方
3.定例会「つどい」のテーマ
4.ともに活動する仲間という関わり
Ⅳ クラブハウスにみるセルフヘルプの実際【事例6】
1.クラブハウスとは
2.クラブハウスの運営方法
3.「セルフヘルプ」と「参加」という価値
4.関係性と能力
5.患者会活動から拠点づくりへ
6.作業所とは違う志向性と当たり前の理屈
第3章 これまでのセルフヘルプ-グループと専門職についての研究
Ⅰ 精神障害者のセルフヘルプ-グループ組織化の歴史
Ⅱ 専門職の関わりに関する研究の動向
Ⅲ 全国の精神障害者のセルフヘルプ-グループ(岩田による調査を中心に)
1.調査方法
2.セルフヘルプ-グループの運営形態別分類
3.運営形態別分類による活動内容
4.精神保健システムや専門職との関係について岩田による考察
5.岩田の研究結果と考察から考えられること
Ⅳ 専門職の支援を改めて見直す意味
1.専門職という「保護者」は必要か
2.セルフヘルプ-グループへの関心と学ぶべきこと
3.生活者のニーズを基本とするよう見直すこと
第4章 セルフヘルプ-グループと専門職による支援の検討
Ⅰ 概念整理と検討の視点・方法・範囲
1.セルフヘルプ-グループの概念整理
2.支援を考える視点と方法
3.どこまでを範囲とするのか
1)精神保健福祉センター
2)保健所と市町村
3)支援する専門職の多様性
Ⅱ 組織形態と活動内容の変遷モデル
1.石川による組織形態別類型
2.谷中による自助活動の目的別分類
Ⅲ 専門職の援助姿勢による影響
1.専門職はサービス志向的なグループを好んで援助するのか
2.専門職のボランティア性について
Ⅳ 精神症状とつき合うことの意味
Ⅴ 当事者と医療者の対等な関係性の模索
Ⅵ 日本における施策体系とサービスシステム
終章 改めて専門職の支援における課題とは
1.第4章までに述べたこと
2.セルフヘルプを尊重しそこから学ぼうとする専門職
3.医療と福祉の専門性について
4.専門職の支援に関する研究への期待
5.本書で紹介した事例の限界
付録 セルフヘルプ-グループに関する研究の動向
1.セルフヘルプ-グループの歴史
2.日本のセルフヘルプ-グループ研究史〜1980年代以降〜
1)1980年代前半
2)1980年代後半
3)1990年代前半
4)1990年代後半
引用文献
参考文献
資料1:設立・運営形態別の事例区分
資料2:セルフヘルプ-グループ実践事例と専門職の関わりの検討
資料3:日本のセルフヘルプ-グループ文献年表(昭和32年〜平成11年11月)
あとがき
私的応援席からのメッセージ
個人の回復とセルフヘルプ-グループ 岩田 泰夫
半澤節子というセルフヘルプな人 野田 文隆
セルフヘルプ-グループと保健活動 平野かよ子
セルフヘルプ-グループと研究者の原点 田中 英樹
著者プロフィール
半澤 節子(ハンザワ セツコ)
1962年三重県生まれ.幼少時より思春期まで東京都小平市で過ごす.1980年千葉大学看護学部入学.在学中からハンセン氏病や筋ジストロフィー症患者の療養施設を訪れ,こうした患者家族の療養生活と社会文化的背景に関心を持つ.卒業研究は筋ジストロフィー患者の思春期の心理社会的状況について研究した.その後,千葉県内の医療機関で看護婦として勤務し,一般病棟に入院している摂食障害,不適応,薬物依存症,自傷行為により緊急入院した患者に出会う.
精神的健康問題を持つ人と家族に対する地域を基盤とした支援に従事したいと考え,1989年東京都に保健師として就職.保健所,精神保健福祉センターにて,10年余り在宅の精神障害者と家族の支援に従事.その後,厚生省保健医療局,東京都総務部地域保健課など行政の政策立案部門にも従事.
1995年からは精神保健ジャーナル「ゆうゆう」(萌文社)の編集委員として,国内外の先駆的な精神障害者支援の現場を視察し執筆.
2000年4月より長崎大学医療技術短期大学部,医学部保健学科(講師)を経て,2006年4月より自治医科大学看護学部助教授.
○博士(学術):長崎純心大学大学院人間文化研究科修了
○資格:保健師,看護師,精神保健福祉士
○所属学会:日本社会精神医学会,日本精神障害者リハビリテーション学会(編集委員),日本精神保健看護学会,日本公衆衛生学会
○研究テーマ:精神障害者のセルフヘルプ・グループ,統合失調症患者の家族成員の介護負担感に関する研究
○主な著書:精神保健福祉士の基礎知識(下)(岡上和雄,新保祐元,寺谷隆子編,共著) 中央法規出版 1998年
精神保健福祉ボランティア〜精神保健と福祉の新たな波(石川到覚編,共著) 中央法規出版 2001年
当事者から学ぶ 精神障害者のセルフヘルプ-グループと専門職の支援 やどかり出版 2001年
市町村における精神保健福祉活動(石川到覚編,共著) 中央法規出版 2002年
その他,精神障害者と家族に関する論文を執筆
発行:やどかり出版
A5判 278ページ
本体価格2,500円+税
ISBN978-4-946498-51-0(4-946498-51-6) C0036
発行年月:2001年12月
著者である半澤さんは、自分自身がセルフヘルプ-グループに参加するこことで、力を回復するという経験をしている。
人はさまざまな人生のターニングポイントで誰かに助けられる。そうした場の1つがセルフヘルプ-グループである。専門家であってもなくても、セルフヘルプ-グループという「体験を分かち合う場」の面白さについて、もっと知りたい、考えてみたいという関心を抱いていただけたらと思う。
目次
推薦のことば 石川到覚
はしがき
序章 私的体験の世界
1.筆者の患者体験から
2.看護学生時代の出会い
3.保健婦になって
4.セルフヘルフ-グループの思い出
第1章 精神障害者が語る現状と専門職への期待
Ⅰ 病を持ちながら社会に開かれるということ
【事例1】
1.プロフィール紹介(病歴・生活歴・医療に対する価値観)
2.いくつかのセルフヘルプ-グループ体験から
3.TKSミーティングのはじまり
4.TKS(体験交流集会)の特徴
5.「当事者ではない人がいると話しづらい」という発言
6.TKS活動の一時解散の理由と関連する親会の休会理由
7.当事者だけで集まることから「開かれた世界」へ
8.精神障害者のセルフヘルプ-グループに向く運営方法
Ⅱ 精神医療を受けた経験者だからできる社会的活動
【事例2】
1.プロフィール紹介(病歴・生活歴・医療に対する価値観)
2.精神障害者に関わる専門職にひとこと
3.院内患者会は「そこに行けば顔見知りに会える」場所
4.「フレンズコミュニケーション」の始まり
5.セルフヘルプ-グループを支援する専門職にひとこと
6.新たなセルフヘルプ-グループづくりへ
7.精神医療を経験した回復者だからできる活動
8.バンクーバーの地域保健システムに出会って
9.当事者が望むバンクーバーの緊急システムとは
1)危機的対応サービス
2)生活支援サービス
10.バンクーバーで具合が悪くなったら
11.日本の精神支援システムの現状
1)医療と精神支援が連携したシステム
2)精神障害者がともに暮らす環境
3)当事者が求めている緊急システムとは
12.当事者活動が社会的に評価されるための戦略
第2章 専門職が支援するセルフヘルプ-グループの実際
Ⅰ 個別援助の限界とグループづくり【事例3】
1.就労定着指導を個別に行う限界から
2.当事者が主体的に参加する運営
3.社会参加というテーマについて安心して語れる場
4.当事者から見たセルフヘルプ-グループ
1)過剰な期待から自由になって本音を語れる場所
2)就労に対する焦りを一歩離れて見つめる
5.専門職からみたセルフヘルプ-グループ
1)就労支援は生活支援の一部
2)就労に対する焦りを見つめること
3)多様な考え方に出会うことから広がる可能性
6.職場の人に障害を明かすという体験から
Ⅱ ボランティアとして参加する作業所職員【事例4】
1.小規模作業所とは異なる場所でグループに参加する意味
2.作業所職員と通所者が並んでミーティングに参加すること
3.作業所の職員が考える「しごとミーティング」
1)横並びの関係性を大切にする安心感と癒しの効果
2)「パイプ役」を担い続けること
3)作業所での支援という枠組みから離れて考える意味
Ⅲ 同じ社会でともに汗を流し苦しみ涙する仲間
【事例5】
1.当事者が運営する保健所デイケアの効用
2.仕事の分担の決め方
3.定例会「つどい」のテーマ
4.ともに活動する仲間という関わり
Ⅳ クラブハウスにみるセルフヘルプの実際【事例6】
1.クラブハウスとは
2.クラブハウスの運営方法
3.「セルフヘルプ」と「参加」という価値
4.関係性と能力
5.患者会活動から拠点づくりへ
6.作業所とは違う志向性と当たり前の理屈
第3章 これまでのセルフヘルプ-グループと専門職についての研究
Ⅰ 精神障害者のセルフヘルプ-グループ組織化の歴史
Ⅱ 専門職の関わりに関する研究の動向
Ⅲ 全国の精神障害者のセルフヘルプ-グループ(岩田による調査を中心に)
1.調査方法
2.セルフヘルプ-グループの運営形態別分類
3.運営形態別分類による活動内容
4.精神保健システムや専門職との関係について岩田による考察
5.岩田の研究結果と考察から考えられること
Ⅳ 専門職の支援を改めて見直す意味
1.専門職という「保護者」は必要か
2.セルフヘルプ-グループへの関心と学ぶべきこと
3.生活者のニーズを基本とするよう見直すこと
第4章 セルフヘルプ-グループと専門職による支援の検討
Ⅰ 概念整理と検討の視点・方法・範囲
1.セルフヘルプ-グループの概念整理
2.支援を考える視点と方法
3.どこまでを範囲とするのか
1)精神保健福祉センター
2)保健所と市町村
3)支援する専門職の多様性
Ⅱ 組織形態と活動内容の変遷モデル
1.石川による組織形態別類型
2.谷中による自助活動の目的別分類
Ⅲ 専門職の援助姿勢による影響
1.専門職はサービス志向的なグループを好んで援助するのか
2.専門職のボランティア性について
Ⅳ 精神症状とつき合うことの意味
Ⅴ 当事者と医療者の対等な関係性の模索
Ⅵ 日本における施策体系とサービスシステム
終章 改めて専門職の支援における課題とは
1.第4章までに述べたこと
2.セルフヘルプを尊重しそこから学ぼうとする専門職
3.医療と福祉の専門性について
4.専門職の支援に関する研究への期待
5.本書で紹介した事例の限界
付録 セルフヘルプ-グループに関する研究の動向
1.セルフヘルプ-グループの歴史
2.日本のセルフヘルプ-グループ研究史〜1980年代以降〜
1)1980年代前半
2)1980年代後半
3)1990年代前半
4)1990年代後半
引用文献
参考文献
資料1:設立・運営形態別の事例区分
資料2:セルフヘルプ-グループ実践事例と専門職の関わりの検討
資料3:日本のセルフヘルプ-グループ文献年表(昭和32年〜平成11年11月)
あとがき
私的応援席からのメッセージ
個人の回復とセルフヘルプ-グループ 岩田 泰夫
半澤節子というセルフヘルプな人 野田 文隆
セルフヘルプ-グループと保健活動 平野かよ子
セルフヘルプ-グループと研究者の原点 田中 英樹
著者プロフィール
半澤 節子(ハンザワ セツコ)
1962年三重県生まれ.幼少時より思春期まで東京都小平市で過ごす.1980年千葉大学看護学部入学.在学中からハンセン氏病や筋ジストロフィー症患者の療養施設を訪れ,こうした患者家族の療養生活と社会文化的背景に関心を持つ.卒業研究は筋ジストロフィー患者の思春期の心理社会的状況について研究した.その後,千葉県内の医療機関で看護婦として勤務し,一般病棟に入院している摂食障害,不適応,薬物依存症,自傷行為により緊急入院した患者に出会う.
精神的健康問題を持つ人と家族に対する地域を基盤とした支援に従事したいと考え,1989年東京都に保健師として就職.保健所,精神保健福祉センターにて,10年余り在宅の精神障害者と家族の支援に従事.その後,厚生省保健医療局,東京都総務部地域保健課など行政の政策立案部門にも従事.
1995年からは精神保健ジャーナル「ゆうゆう」(萌文社)の編集委員として,国内外の先駆的な精神障害者支援の現場を視察し執筆.
2000年4月より長崎大学医療技術短期大学部,医学部保健学科(講師)を経て,2006年4月より自治医科大学看護学部助教授.
○博士(学術):長崎純心大学大学院人間文化研究科修了
○資格:保健師,看護師,精神保健福祉士
○所属学会:日本社会精神医学会,日本精神障害者リハビリテーション学会(編集委員),日本精神保健看護学会,日本公衆衛生学会
○研究テーマ:精神障害者のセルフヘルプ・グループ,統合失調症患者の家族成員の介護負担感に関する研究
○主な著書:精神保健福祉士の基礎知識(下)(岡上和雄,新保祐元,寺谷隆子編,共著) 中央法規出版 1998年
精神保健福祉ボランティア〜精神保健と福祉の新たな波(石川到覚編,共著) 中央法規出版 2001年
当事者から学ぶ 精神障害者のセルフヘルプ-グループと専門職の支援 やどかり出版 2001年
市町村における精神保健福祉活動(石川到覚編,共著) 中央法規出版 2002年
その他,精神障害者と家族に関する論文を執筆